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釣行日記 11月20日

【2日目】

朝5時に出船。

真っ暗闇の中、前日と同じ立島の先端へと渡礁する事にしました。

同じ磯にした理由は、南東風が少し強く吹く予報でしたので、釣り座が程々に高くて
風裏になる所、という二点を考慮した上での決定です。

出船前に釣り宿の作業小屋で、エビの糠味噌の様に見えない事もないコマセを、前
もって混ぜて来ておいたお陰で、手の汚れと匂いを気にするも事なく、パンとフルー
ツジュースを食べ、お薬を服用してからゆっくり道具の準備をする事ができました。

本日最初の仕掛けはベストのポケットに手をいれた時、初めに掴んだウキを使用する
という、おみくじ方式を採用した結果、見事にご当選されましたのが、二段仕掛けの
J3と-Bを組み合わせたD.SUSでした。

D.SUSは潮流の状況判断が着きにくい時や、風が晒して上滑りをしている時などは、
特に威力を発揮してくれますので、今の条件下では、最も適した仕掛けのひとつだと
思っています。
いや、思い込んでいるのかも…!?

“鰯の頭も信心から”であります!
(やはり、何か持っている?or憑いてる?)

そんなこんなで、東の方の空も白んできたことですし、釣友がバケツに汲んで置いた
海水に、ちゃっかり浸け置きしていた刺し餌が、程良く解けてきたところでしたの
で、2日目の釣りを開始する事にしたのであります。

ぼんやりと見え始めた海面の様子は、左から右へと行く下りの潮が、前日よりも若干
速いように思います。

右前方の沖側へと蛇行しながら、離岸して流れているので、潮に乗ったら“どこどこ
行くの”って感じですかネぇ。

しかし、前日以上に速い下り潮が行くという事は、益々以て好まざる潮流になってき
ているという事なのであります。

取り敢えず真鯛の覚醒を促すために、ジュース片手にタバコをくわえ、コマセを潮筋
にパラパラと2杯、少し間を取り、固めたコマセを2杯ほど撒く。
というパターンを、体内時計が刻むアバウトな時に合わせ、約5分ほど続けていると

下の潮目沿いでは、“ニシンが来た事を告げやしない”カモメ達が集まり、勝手に朝
食会を始めていました。

『流れ方が速えぇなぁ。』
『ポイントが遠くなっちまう。』

などと思い込む一方、撒き過ぎたかな!?
などとも、感じていたのでした。

まぁ、与えられた今の条件と状況から、クロスワードパズルの升目を一つづつ埋め、
二重枠の文字を並べ直し、早いこと正解を出して行くほか無いんですがね。

先ずは、潮筋に直接入れる覚醒用(カモメ用では無い)コマセを控えめにして、足下
から引かれて行く所に活性用のコマセを撒きながら、流しては回収の作業を続けるこ
と小一時間余り。

やっとスプールから出て行く道糸に、サラサラサラサラとスピードアップして、出て
行く変化が現れました。

人差し指でスプールの道糸を、ピタッと押さえつけてみると、竿先が“ムギュー”と
逆エビに曲がりだしたので、ソフトなタッチで道糸を触る感じで押さえ、バチバチ音
が発生する様に竿を起こし、釣友に対して“これ見よがし”のアピール全開!

掛かった獲物が小さいことは分かっていたのですが、竿の3〜4番に過重が掛かる様
に、大袈裟に背筋力で竿を引き寄せ、オーバーアクションをすると…

宍戸錠、いや案の定、掛かった魚は暴れる事もせず、ヒラリヒラリと簡単に寄って来
ました。

足下に寄って来た魚を見ると、青いシャドーを目の上に施した、おしゃまさんな中学
生の様な真鯛でした。

ただ、抜き上げるには躊躇するサイズでしたので、優しく玉網で掬い上げ、タイド
プールに入れてあげたのであります。

現金な私は、そんな一匹だけで目の前が明るくなり、捲土重来を期したかの様に気分
爽快で、ハリスをチェックしてから速やかに仕掛けを投入。

30mほど流したところで、昨日も喰らった覚えのある強烈なアタリが襲来!

悪夢が蘇って来るのを払拭し、磯場を右往左往しながら応戦しましたが、物凄い勢い
で道糸は出て行くばかり。

何とかベールを返して竿を起こした瞬間、リールシートの上から曲がり込み、気付け
ばドラグの音が周りに鳴り響いていました。
レバーを離して体制を整え直し、竿を後方へ回して前方へ翻し、道糸を出してその場
をしのぐだけで精一杯。駆けつけ二杯。

竿尻に手を添えながら引き起こし、魚を沖側に誘導しようと試みましたが、志半ばで
ラインは虚しくもブレイク。

昨日から続いている失態に肩を落とし、『自分、不器用ですから』などと、言ってる
余裕なども無く、ただ呆然と、スタビ0にバランサーを貼り、道糸を通して…溜め
息。

ハリスにジンタンの7、8番を均等に着け、カラースイベルに結んで…溜め息。

鉤を結んで竿を一旦置き、大きく深呼吸をしてから座り、沖合いを航行する大型の白
い船舶を眺めながら一服。

気持ちを入れ換え釣り座に立ち、潮筋へ引かれて行く所を探りながら、手返し良く流
していると、気持ちを察して同情をしてくれたのか、足裏サイズの口太がポンポンと
釣れ出したのです。

しかし今回は真鯛狙いですので、気持ちを改め、真鯛を攻める事にしたのでありま
す。

引かれ潮の外側が、下り潮と交じり合う点に仕方を潜り込ませ、内側の際にコマセを
撒いて流すこと僅か数分、ラインが“ビュイ〜ン”と張り出したので、間髪入れずに
合わせてみると、本命の予感を想わせる手応え。

『やっぱり気持ちを入れ換えて正解!』

高鳴る気持ちを抑えつつ、慎重に慎重にジワリジワリと寄せ、あと残り20mほどの所
まで来たところで、突然、洞窟だか悪霊の巣窟だかが有るワンド側へと、ピュィ〜ン
と曲がり込まれたので、メタボチックな体で、磯の上をドタバタと移動したのですが
…既に遅し。堤下敦!?

悲しいかな、道糸はハエ根に食い込んでしまい、ウンともスンとも云わなくなってし
まったのです。

暫く待っても動き出す気配が無かったので、仕方無く道糸を手で引っ張ると、ズルズ
ルと道糸が擦れながら抜け出て来たのですが、ウキがチラチラと見えたところで、ハ
リスとスイベルの結び目あたりから切れ、ウキが吹っ飛んで来たのでした。

半ば開き直った何度目かの仕掛け作りでは、凌イエロー00に潮受けクッションSと、
ノーガンの組み合わせにしました。

特に何か考えた組み合わせでは無く、破れかぶれのノープランです。

手前ハエ根脇に沖へと出て行く寝惚けた様な流れが有ったので、そこに仕掛けを投入
をすること数回目、投入ポイント付近に白い物体が浮かんできました。

何やら、そこそこの魚である事が分かったので、目ん玉をひんむいて見ていると、先
ほどバラしたであろう、50cm位の食べ頃サイズの真鯛でした。

暫くその様子を観察していると、尻尾をユラユラと動かしながら体を横向きにして、
エラと口をパフパフさせて流され始め、その後ゆっくり潜水しながら泳いで行かれま
した。

巧いこと鉤が外れたのか、沈み根に引っ掛かっていたハリスが外れたのかは分かりま
せんが、生態系に及ぼす影響に配慮して、リリース!?した魚が元気を取り戻しなが
ら、黄海方面!?へ泳いで行った後ろ姿を、高台からお見送りさせて頂きました。

気付けば磯上がりの時間まで40分あまり、黙々と打ち込みましたが、後日第七艦隊が
向かった方面の海からは、素敵な贈り物を頂く事ができませんでした。

“彼を知り己を知れば百戦危うからず”

今一度、検証し直おさなければならない。
と、つくづく思わされた2日間でした。

今年は春も秋も予定していた釣行日が、尽く天候に恵まれず、春に1回と秋に2回だ
けで、真鯛釣り春秋は虚しくも終わってしまいましたが、失う物が多かった一方で、
得る物もソコソコは有った様に思う、波乱万丈のシーズンでした。

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