Field Report

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第2回U35若手チヌトーナメント 【高橋 武】5/5

第2回U35若手チヌトーナメントを2024年5月5日に岡山県笠岡沖にて開催しました。

今大会は年齢制限を35歳以下に限定し、若手磯釣り師の親睦と交流・技術とマナー向上を目的としたトーナメントです。

開催された岡山県笠岡沖一帯は瀬戸内海の中央付近に位置し、瀬戸内海を縦断するように比較的大きな島が並び、強く太い潮が流れることが多い印象です。

また、瀬戸内海の中でも大型のチヌが釣れることでも知られ、ハイシーズンともなれば50センチ前後のチヌが入れ食いになることも少なくないそうです。

今や全国に名を馳せる多くの名手が、若き日にこの豊かな海へ足しげく通い、技術を高めたと度々聞きます。

なので、若手世代にとっての「学びの海」として最適ではと期待を込めて笠岡沖を開催地とさせてもらいました。

参加者の年齢層は21~33歳と他の大会では見られないフレッシュな顔ぶれです。

愛知県や福岡県からもご参加いただき、中国・関西・四国と広い地域からご応募いただきました。

選手の中には全国大会の出場経験がある方や優勝経験者も居られどのような結果になるのか予想が付きません。

開会式では交流の一環として今大会独自の習慣で選手全員の自己紹介をしてもらいました。

組み合わせ抽選も終え一同乗船し、試合が行われる六島・大飛島方面へ向かいます。

前情報では潮回りが悪く一時的に活性が落ちているとのことです。

さらにアジやタイ・ハゲ・フグなどのエサ取りに悩まされ、低活性なチヌの口元へサシエを届けるのに苦戦を強いられるかもしれないとのことです。

1回戦では2人試合で1時間ハーフの2時間試合でしたが、2回戦以降は3人試合で40分×3セットの2時間となり、チヌ釣りではかなりの短時間決戦となります。

そんな時間的にも状況的にも厳しい状況の中、ほとんどの磯で釣果が有り、1回戦から接戦が繰り広げられました。

決勝戦進出されたのは以下の3名です。

☆丁寧な釣りをして微調整しながらチヌとの間合いを確実に詰め、予選1・2回戦では他の選手より1回り大きなチヌを釣られた「坂上 遼真選手」

☆鍛え上げられた強靭な体を駆使したパワフルな釣り姿も印象的だが、釣りの内容も仕掛けの投入位置やタナのセッティングを大幅に変えるなど、大胆な作戦で予選1・2回戦の接戦をものにした「山元 優希選手」

☆予選1回戦こそ接戦で辛くも勝利。しかし、予選2回戦では他の追随を寄せ付けず3-0-0で圧勝。昨年大手メーカー主催の全国大会で優勝しており、落ち着いた試合運びを得意とする安定感抜群の「黒瀬 直斗選手」

それぞれの個性が際立つ決勝戦になりそうです。

12時頃、決勝戦の火ぶたが切って落とされました。

海へ向いて右から山元選手、中央に坂上選手、左手に黒瀬選手の立ち位置からスタート。

1ラウンド目開始早々は3名とも様子見。

30分が経過したころ、距離感でエサ取りの動きを探っていた黒瀬選手が沖に居るタイと手前にいるフグとの境目になる距離感で30㎝ほどのチヌを釣り先制。

しかし、その後3名とも動きはなく、2ラウンド目に突入。

中央に釣り座交代した黒瀬選手が2ラウンド目終盤に足元に見えチヌの群れを発見。

その中の何匹か撒き餌に反応する個体を見つけたあたりで2ラウンド目が終了。

黒瀬選手にとっては後ろ髪をひかれる思いで最終ラウンドへ突入。

見えチヌが見えている中央の釣り座へ山元選手が入り、注目が集まります。

山元選手は2ラウンド目終了直前に浅いタナでチヌらしきアタリをとらえたらしく、最後の釣り座に着くと迷わずウキ下を60㎝程度に変更。

3ラウンド開始して5分ほど経過したころ、見えチヌがスズメダイの動きにつられて撒き餌の煙幕に入りサシエのある方向へ泳いだ直後ウキが消し込みます。

山元選手の鋭い合わせが決まると水面直下でチヌが反転するのが見えました。

ギャラリーからは思わず「すごい!!」歓声が上がるほどの見事な1尾でした。

サイズは黒瀬選手のチヌより上回っており1歩リードです。

それから10分が経過したころ静かに竿を曲げ、危なげなくチヌを釣ったのは坂上選手です。

山元選手と坂上選手のチヌは見た目にほとんど差が無くわからない状態です。

3名が1匹ずつ釣り上げ拮抗状態となり、あと1尾釣れれば確実という緊張感が選手から伝わります。

残り時間15分を切ったあたりで、竿を大きく曲げ、均衡を破ったのは黒瀬選手です。

やり取りから他の選手より重量感を感じさせるものがあります。

冷静なやり取りの末、良型のチヌをタモ網へ誘導し、見事に手中に収めました。

その後、試合は動くことなく終了。

 

結果

優勝「黒瀬 直斗」選手

勝負強さ・粘り強さ・冷静な判断と広い視野で2尾1820gを釣り攻略。
厳しい状況をどこか楽しんでいるかのような雰囲気が印象的でした。

準優勝「山元 優希」選手。

堂々とした釣り姿で見事な状況判断と行動力を魅せ、ギャラリーを沸かせました。
1尾740gであと1歩の惜しい結果に。

3位は「坂上 遼真」選手

予選と決勝戦の雰囲気の違いからか緊張の色が濃く、本領発揮ができていない様子だったものの確かな実力を見せてくれました。
1尾650gでした。

三者三様の釣りスタイルでそれぞれの答えを導き出し方があり、大変見ごたえのある決勝戦を魅せてくれた3名に惜しみない拍手が送られ、今大会を終えました。

最後になりましたが、今大会をするにあたり関係者の皆様にご支援・ご協力を受け賜わり開催に至っておりますことをこの場をお借りし御礼申し上げます。
また、選手の皆様の配慮で事故や怪我もなく1日を終えることができました。

ありがとうございました。

 

35歳以下という年齢制限はありますが、興味のある方がいらっしゃいましたら次回のご参加を楽しみにお待ちしております。